三曲演奏会

4月30日(日)

三曲とは3つの曲という意味ではない。

琴で演奏される音楽、三味線で演奏される音楽、

そして尺八で演奏される音楽の

総称をそう言うのだ。

と言っても私も今日初めてそのことを知った。

私の生徒さんで長年、

お琴や三味線をやっている人がいて

その人がお琴の人間国宝の人と

共演をするというので

半蔵門の国立劇場に聴きに行った。

こういった邦楽の演奏会は初めてだったし、

人間国宝ってどういう人だろう、

またその音楽はどういうものだろう、という興味で

いい機会だと思い、行くことにしたのだった。

もちろん生徒の演奏する姿も見てみたかった。

私の生徒は普段はお琴もするが、今回は三味線で、

ステージの一番後ろに座る6人の

三味線の中の一人。

お琴は総勢27人で、ステージの大半を占め、

人間国宝の方が一人一番前に座る。

別格だということがすぐにわかる。

初めて邦楽というものをちゃんと聴いたのだが、

とても面白かった。

人間国宝の方が主に一人歌うのだが、

それに合わせて二手に分かれた

お琴が伴奏をつける。

また、時々は歌も合わせる。

27人もいるのだから、ハーモニーを作れば

よさそうなものだが、そうはしないで、

高音部のグループがユニゾンで歌の伴奏をして

それに低音部のグループがこれまたユニゾンで

合いの手を入れるという感じ。

ユニゾンとはみんなで同じ音を弾くということ。

三味線も6人がユニゾン。

そして後で生徒に聞いたところによると

三味線もお琴と完全ユニゾンということだった。

つまりここにはハーモニーという概念は

全くないのだった。

西洋音楽ならば、2人いれば2声のハーモニーを

作りたくなるし、3人いれば3声のハーモニーを

作るだろう。

ましてや27人+6人ならばそれは壮大な

ハーモニーになるだろう。

だがここでは何人いても楽器も歌も

ユニゾンだそうだ。

邦楽と西洋音楽の違いが歴然とし、

とても興味深かった。

これはどういうところから来るんだろう。

やはり日本人はみんな一緒が好きなんだろうか。

あるいはそもそも和音、ハーモニーというものを

気持ちいいと思わなかったんだろうか?

お琴や三味線は当然中国から来たのだろうから、

中国でも和音の概念はないのだろうか?

あるいは朝鮮半島では?

またリズムの面でも面白かった。

普通は曲の初めや節目はピタッと

合わせようとするるが、

ここには指揮者もいなければ、

テンポを仕切る楽器奏者もいない。

全てはみんなで呼吸を合わせて

始めましょうということだ。

30人もいれば、

いくら呼吸を合わせるといっても、

全員が前を向いているのだから、

目を合わせることもできず、

当然、全員がピタッと、というわけにはいかない。

バラバラバラっと始まることになる。

でもそれもあまりきっちりする必要もないらしい。

何となく合っていればいいという

くらいの感じらしい。

邦楽の世界をちょっとだけ知り、

とても興味深い1日だった。

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