プールからガラス越しに探してる
懸垂をする君いるはずもなく
甘味料入りのボトルを手にして嘆く君
体成分表を凝視し続け
(体成分表;体の筋肉量や脂肪量を計測した
結果のシート、ジムで月に一度は必ず、測っていた)
このビルは来年できると自慢げに
解説をしてこの街が好き
いつだって正論ばかりを言う君に
つまらないと一度言いたかった
自転車で三宅島を一周する
ベトナム人に負けまいとして
船酔いのイルカツアーにイルカ見ず
潜りはダメと蒼い顔して
細かきこと真面目にとって憤る
俺はそうして生きてきたから
女子達におしゃれなカフェを案内(あない)する
ドヤ顔の君なつかしくあり
「じゃ、また」と別れる角をこれからは
一人黙して通り過ぎる
この街のどこを歩いても残ってる
君との痕跡不在を告げる